気鋭の醸造家、ドメーヌ・イチの上田一郎さんが、自社以外でセレクト。いま、日本ワインで選ぶならこの4本

日本で初めてオーガニックワインを手がけた、北海道『ドメーヌ・イチ』の上田一郎(うえだいちろう)さん。あえて自社以外の銘柄で、おすすめの日本ワイン4本を選んでもらいました。

オーガニックワインの先駆者、上田一郎(うえだいちろう)さん。新設した話題のワイナリー『ドメーヌ・イチ』は、ファーストヴィンテージから即完売が続出。

『ドメーヌ・イチ』が位置する余市・仁木エリアは、梅雨や台風の影響が少なく、夏は湿度が低く昼夜の寒暖差が大きいという気候と土壌条件に恵まれ、近年多くのヴィンヤードとワイナリーが造られています。このエリアで2008年に設立され、2011年に、日本で初めてのオーガニック認証を取得したのが、上田一郎氏が代表を務める『ベリーベリーファーム&ワイナリー』です。ここで土壌作りから徹底したこだわりの管理をおこない、化学肥料や除草剤などの農薬を一切使用せずに有機JAS認定の健全な農作物を育て上げている上田氏が、新たな醸造所『ドメーヌ・イチ』を2020年に開設し、大きな話題となりました。『ドメーヌ・イチ』でも2021年にオーガニックワイナリー認定を取得。環境と人にやさしい農法で栽培したブドウを、出来るだけ自然な醸造方法を楽しめるワイン造りを目指しています。

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上田さんが、いま興味を持って研究を重ねているブドウ品種をベースにセレクト。今後ワイナリーの主力となる、期待の銘柄とは?

「ワインは、これから力を入れていきたい品種、委託醸造の依頼を受けている品種の視点で選びました。現在『ドメーヌ・イチ』ではピノ・ノワール、ピノ・グリ、ラブルスカ系品種(ナイアガラ、ポートランド)をメインに造っていますが、今期待を寄せている銘柄はヤマ・ソーヴィニヨン。病気にかかりにくく、無農薬で剪定もせず、ほったらかしでもトラブルがなく丈夫。しかも、美味しいエレガントなワインが造れるんです。今後は、ヤマ・ソーヴィニヨンを次の柱となる品種として力を入れていきたいと思っています。ヤマ・ソーヴィニヨンの親にあたる品種「ヤマブドウ」のワインも年間500~600本造っていて、可能性を感じている品種です。個人的に好きな品種は「サバニャン」。もともとフランス・ジュラ地方のワインが好きで、将来的にはヴァン・ジョーヌ(フランス・ジュラ地方でサバニャンから造られる黄色ワイン)を造りたいと思っています。周りにもジュラ好きな生産者さんが多い気がしています(上田さん)」。

※左から1番目の画像はイメージです。「セイベル スパークリング」は完売しました。
※左から3番目の画像はイメージです。「ヤマソービニヨン 2019」は完売しました。
※左から4番目の画像はイメージです。2020ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2021ヴィンテージです。

写真左から:
セイベル スパークリング/SOLD OUT
山葡萄 2017/3,740yen(税込)
ヤマソービニヨン 2019/SOLD OUT
アルバリーニョ 2020/SOLD OUT
アルバリーニョ 2021/4,840yen(税込)

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上田一郎さんおすすめ① 関心が高まるセイベル9110種を使用した、『セイベル スパークリング』。

「セイベルも、ブドウ生産者からの委託醸造の依頼があるため、関心をもっています。後学のため選びました(上田さん)」。山陰地方を代表するワイナリー『奥出雲葡萄園』の『セイベル スパークリング』は、フランスの交配品種・セイベル9110種を使用しています。まだまだ栽培しているところも少なく、ワインの銘柄も多くはないセイベル。耐病性・耐寒性が高いので、東北地方や北海道での期待が高まっている品種です。白ワイン用のセイベル9110種、セイベル5279種の他にも、赤ワイン用のセイベル13053が存在し、それぞれの個性を発揮しています。

※画像はイメージです。「セイベル スパークリング」は完売しました。

奥出雲葡萄園[島根]
セイベル スパークリング/SOLD OUT

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上田一郎さんおすすめ② まっすぐな酸が心地よい、ヤマブドウ100%の『山葡萄 2017』。

「私たちの会社でも、ヤマブドウのワインは年間500~600本程度製造しています。この銘柄も後学のために選びました(上田さん)」。日本に自生する野生ブドウで、粒は小さく、強い酸味と独特の香りが特徴のヤマブドウ。通常は酸味が強いため、合わせる料理を選ぶこともありますが、この『島之内フジマル醸造所』の『山葡萄 2017』は、レストランが併設されているワイナリーらしく、さまざまな食と合わせることを考えて造られています。岩手県産ヤマブドウ(アムレンシス)をジョージアのクヴェヴリ(土器)で最終発酵させたものと、フレンチオークで発酵熟成させたものをブレンドしています。

島之内フジマル醸造所[大阪]
山葡萄 2017/3,740yen(税込)

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上田一郎さんおすすめ③ 最も注目している品種を単一で使用、味わいを引き出している『ヤマソービニヨン 2019』。

「 ヤマ・ソーヴィニヨンは、『ドメーヌ・イチ』の次の柱となる品種として、力を入れていきたいと思っています。8年間かけて試験的に栽培・醸造し、北海道余市・仁木というこの土地に合う品種だということを確信したためです。3年後には、メイン商品のひとつにするという計画もあり、後学のためにこの一本を選びました(上田さん)」。個性的な風味が特徴のヤマ・ソーヴィニヨンは、合わせる料理を考えるのも楽しい品種。『シャトージュン』の『ヤマソービニヨン 2019』は、完熟の糖度が高い山梨県北杜市長坂町産のヤマ・ソーヴィニヨンを100%使用。約3週間マセラシオンし、醸し期間を長めにすることで、味わいに複雑さが現れました。ほどよいタンニンと切れ味のある酸味も楽しめます。

※画像はイメージです。「ヤマソービニヨン 2019」は完売しました。

シャトージュン[山梨]
ヤマソービニヨン 2019/SOLD OUT

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上田一郎さんおすすめ④ 山形県・かみのやまでチャレンジが続く『アルバリーニョ 2020』。

「いま道内のブドウ生産者から、アルバリーニョの委託醸造の依頼を受けていて、特に関心のある品種です(上田さん)」。いま、新潟県や山形県を中心に注目度が高まっている品種がアルバリーニョです。特に『ウッディファーム&ワイナリー』は、2017年から本格的に植え付けをスタート。東北で最大級のアルバリーニョの生産を目指し、2019には山形県で初めて、アルバリーニョのワインをリリースしました。さらに今後は、さまざまな工夫を重ねたバリエーションあるアルバリーニョをリリースしてゆく予定です。この『アルバリーニョ 2020』は、同じく注目品種のプティ・マンサンをブレンドしています。天候に恵まれた2020年の、まったりとした印象のアルバリーニョに、酸味の強い状態の晩熟タイプの品種、プティ・マンサンがブレンドされた魅惑的な味わいです。

※画像はイメージです。2020ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2021ヴィンテージです。

ウッディファーム&ワイナリー[山形]
アルバリーニョ 2020/SOLD OUT
アルバリーニョ 2021/4,840yen(税込)

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ドメーヌ・イチ
北海道余市郡仁木町:農地所有適格法人(株)自然農園グループ

ドメーヌ・イチ(Domaine ICHI)は、日本で初めてオーガニックワインを手がけた「ベリーベリーファーム&ワイナリー」が2020年に新設したワイナリー。代表取締役は上田一郎(うえだいちろう)氏。ワイナリーのある北海道余市・仁木エリアは気候と土壌条件に恵まれ近年多くのヴィンヤードとワイナリーが作られています。ドメーヌ・イチではピノ・ノワール、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネールなどの醸造用ブドウ、昔からこの地域で栽培され続けてきたナイアガラや旅路などの食用ブドウ、そしてハイブリッド品種を有機JASと環境にやさしい有機農法で自社農園で栽培しています。環境と人にやさしい農法で栽培したブドウを、可能な限り自然な醸造方法によるワイン造りを目指しています。

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品種で選ぶと、日本ワインはもっと楽しい!
ブドウ品種別ガイド

ブドウ品種で選べば、日本ワインがもっと楽しくなる。日本固有種から欧州系品種まで、品種ガイドと、ワインエキスパートおすすめの銘柄を紹介します。

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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